院長ノート
Blogご出産の報告にいただいたお手紙です。
わざわざ半休を取って妊婦健診に来たのに、なんであの人が先なのか、待ち時間が長いとクレームを言われますが、隣でお待ちの妊婦マークの方も午後出勤かもしれません。
ぜひお手紙の方のように、ママになる実感を、妊婦健診のたびに育ててください。
ママやパパの顔になって、当院へ赤ちゃんの成長を楽しみに、受付に文句を言わずに見に来てください。
将来、赤ちゃんの小児科受診でも受付に遅いと言いますか?
今は社会人として活躍されお忙しいと思います。でも健診の日は、どうかお母さんの自分をゆっくり育ててください。
母子手帳の本人記録欄も、書いていないので書いてくださいとお願いする人がほとんどです。分娩先の病院名を聞いても忘れていてスマホで調べる方も多いです。
『とりあえず産休に入ってから考える』から、『妊娠した今から準備しよう』にしてみませんか。
健診はお仕事上で無駄な時間かもしれません。上司や同僚に頭を下げるのもつらいです。キャリアウーマンから、今はまだ現実にママにもなっていない仮想のママにモードチェンジするのは大変なことです。
切迫早産だけど仕事は休めないというワーカホリック気味の方もいます。その場合は時間をかけて赤ちゃんのために治療が必要なことを説明しています。
『夫にとっても貴重な経験となり喜んでいる』 別の方のお手紙です。
妊婦健診を通じて、母性・父性を育んでいくことも、産婦人科の大切な診療ですし、社会的にも重要な事業だと思っています。
・診療内容、血液検査の有無、診察室の状況等によって他の方が先に呼ばれることがあります。今回も、後にいらした反復流産後の方のフォローを、妊婦健診の方よりも先にお通ししたらクレームになりました。どうかお気持ちお察しください。
産婦人科という極めて秘匿性の高い診療科目の特性上、お待ちの方全員への公平性、一元的にご納得のいく透明性は担保しかねます。
以下、妊婦健診に係る男女雇用機会均等法条文です。
『事業主は、女性労働者からの申出があった場合に、
勤務時間の中で、妊婦健康診査等を受けるために
必要な時間を与えなければなりません。
1 健康診査の受診時間
2 保健指導を直接受けている時間
3 医療機関等での待ち時間
4 医療機関等への往復時間 をあわせた時間を考慮に十分な時間を確保してください』
法律に、『待ち時間まで考慮し、十分な時間の確保を義務づける』と明記されています。